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「お墓」のはなしをコラム形式でご紹介します!!

  • 連載企画【第10回】「お墓」のはなし

    年末から年始にかけて墓地には多くの方が訪れ、お供えするお花も松、千両などが加わり、いつもより少し華やかになりました。その光景は皆様のご先祖様に対するお気持ちが伝わってくるようで、感慨深いものです。しかし、中には雑草が生い茂っていたり、墓石が傾いたり倒れているお墓があります。
    このように管理がされなくなって荒れてしまったお墓を「荒れ墓」。お墓に眠っている方の縁故者がいなくなってしまった、またはわからなくなってしまったお墓を「無縁墓」といいます。

    熊本県人吉市が2013年に市内で行った調査によると、市有と私有の墓地にある市内計1万5128基のうち42.7%が「無縁墓」で、実数にすると6500基近くが、長年管理されていないものだったそうです。この結果がこの辺りの地域に当てはまるとは思いませんし、極端な例だとは思いますが、実際に数字で示されると驚きます。

    ここで私が思い出すのが近年の「墓じまい」の依頼の増加です。墓じまいの多くは「墓守をしていたご自身が高齢になり、墓地に行けなくなった、後を見てくれる人がいない、このままでは無縁墓になってしまう」という理由です。しかし、依頼される方は、長年お参りしてきたお墓に対する思い出や、ご先祖様に申し訳ないと思い涙される方もいます。
    当然お墓は永代守られていくことが良いのですが、各家庭のそれぞれの都合で「墓じまい」を余儀なくされることもあるかと思います。お墓を片付けてしまう無念さは非常にわかりますが、それ以上に「荒れ墓」「無縁墓」にしてしまうことは、ご先祖様に対して失礼なことだと思います。従来のお墓以外にも供養塔など、先祖供養の形はあります、決して墓じまいすることは悪いことではありません。

  • 連載企画【第9回】「お墓」のはなし

    今年もお盆やお彼岸の際には、たくさんの方がお墓参りされているのを拝見しました。普段は1人の方も、いろいろな行事の時は、お孫さんやご家族と楽しそうにお参りされている光景を見ると、改めてお墓参りの良さを感じます。

    先日、現在岐阜県に住んでいる方から、病気のため、豊川市にあるお墓へお参りに行けないし、後を見てくれる人もいないので、お墓を撤去してほしいと依頼がありました。よくある依頼なのですが、この方は遺骨を取りに行くこともできないので、宅配便で送って欲しいとのことでした。依頼者様が考えてくださった最善の方法だと思ったのですが、私はどこか遺骨を粗末に扱ってしまっているような気がしたので、結局、遺骨は私が依頼者様のお宅まで配達させていただきました。
    しかし、世間ではこういった場合どうしているのか気になったので、調べたところ『送骨サービス』なるものを見つけました。このサービスは、特定のお寺や施設が行っているもので、問い合わせて契約が進むと、段ボール箱等が送られてきて、その中にお骨を入れて送り返すと、施設が永代供養墓等へ納めるというものでした。
    人がなくなって燃骨した後に、このサービスを使えばお墓も要りません。昨今の核家族化や血縁関係の希薄化などの家庭環境の変化から出てきたサービスだと思います。

  • 連載企画【第8回】「お墓」のはなし

    今年もお盆には多くの方がお墓参りに行かれたのではないでしょうか。比較的墓地が近くにあり、日頃からお参りできる方は良いのですが、遠方でたまにしかお墓に来られない方にとっては、ご先祖様に近況を報告し、感謝を表すことのできる、とても大事な行事だったのではないかと思います。
    しかし、それもお墓が建っているから行えることであって、残念なことですが、ある日突然お墓が倒れ、お墓参りができなくなってしまうことがあります。

    その原因のひとつは地震です。今年4月に起きた熊本地震では、被災した熊本市の市営墓地で、墓石全体の6割にあたる約1万基が倒壊してしまったそうです。その他の巨大地震でも、多くの墓石が倒壊したという事例が報告されています。自然の力は強大で、私たちの想像をはるかに超えた力で襲ってきます。少しでも食い止めようと、墓石業界も動いております。
    具体的には、墓石を建てていく際、少しでも地震の揺れに耐えられるような耐震施工へと変えていっています。従来、墓石を組み上げていく段階で、石と石の間はノロ(セメントを水で溶いたもの)でくっつけていました。しかし、このノロに接着能力はあまりなく、衝撃を与えると剥がれてしまいます。なので、近年は、ここに耐震施工用の接着剤を使うようになっています。この接着剤は接着能力も高く、かつ粘りがあり、揺れにも強いので、従来に比べ耐震強度は上がったと言えます。なお、現在建っているお墓も耐震補強工事は行えますので、もし気になった方がおられましたら、是非お近くの墓石店に見積もりを依頼することをオススメします。

  • 連載企画【第7回】「お墓」のはなし

    近年、テレビや雑誌などでは、従来のお墓の形にとらわれない埋葬の仕方が紹介されています。
    例えば、ひとつの大きなお墓にたくさんの方々と一緒に納骨する“合同墓” や、樹木の根元にお骨を埋める“樹木葬”、海に出て、船の上から粉にしたお骨を撒く“散骨”などがあります。
    これらは、私がお客様との会話の中で、よく話題にのぼるので、みなさんもご存知かもしれません。もちろん、各家庭によって様々な事情がありますし、様々な埋葬の方法があるのは良いことだと思います。ですが、私のように常にお墓を見ている者からすると少し寂しい気がします。

    そもそも、なぜお墓は石なのでしょうか。1つは、硬くて丈夫という理由なのですが、それだけではありません。それは、石が持つ力が関係します。古代から石には、一種の霊力が宿っているという認識があり、石をご神体にした信仰が全国各地に残っています。現代でも、願いを込めるアクセサリーとして、石のブレスレットなどが“パワーストーン”として人気です。
    このように長年、人々の思いと共にある石が、故人を想ったり、自分の気持ちを浄化したりするお墓に使われるのは、自然なことなのです。各家庭ごとに石でお墓を作り、ご先祖様への感謝の気持ちや、これからの子孫を想って守っていく。そんなお墓は、きっと家族の為の最高の“パワーストーン”になることでしょう。

  • 連載企画【第6回】「お墓」のはなし

    お墓参りは宗旨、宗派によって異なったり、地域によってかなり違うことがあります。私個人としてはお墓参りは、“ご先祖様に感謝し、自分自身の気持ちを整理・浄化する行為”なので、最低限のマナーの中でなさりたいようにすれば良いと思うのですが、中にはお墓参りの方法を規制しているところもあります。
    例えばローソクです。仏教であればお墓にお線香を手向ける際、ローソクに火をつけますが、そのローソクに火をつけること自体を禁止、またはできればしないでほしいと規制している所があります。これは万が一、ローソクの火が周りのものに燃え移ってしまっては大変だという理由からです。お参りの際にはライターで直接お線香に火をつけてもいいですし、ホームセンターなどに約5分ほどで燃焼する2~3センチの短いローソクがありますので、そちらを使われてもよいと思います。規制されていない墓地でも、火災予防として是非意識していただきたいです。

  • 連載企画【第5回】「お墓」のはなし

    私が仕事で墓地へ行くと、墓参者の方がよくお墓に水をかけている光景を目にします。私はそれを見て、非常にお墓参りらしい所作でいいなと思います。しかし一方で、「お墓(=先祖)だから頭から水をかけるのは失礼だよね?」などの質問を受けることもあります。ではどちらが正しいのでしょうか?
    答えは、どちらも正しい!です。お墓参りというのは、先祖供養のため、自分の気持ちの整理や浄化のために行うものです。なので、自分自身が「水をかけてあげたいな」と思えば、かけてあげればいいですし、上記のように「水をかけるのは失礼」と感じるのであれば、やめておけばいいのです。ご先祖様に対して良いことをしているという思いがあれば、どちらでも間違ったことではないのです。
    ※ただし、宗旨や宗派によって異なるので、そちらに従ってください。
    しかし、お墓参りは自分たちが良いと思えば、どんなことをしても良いかといえば、そうではありません。お墓参りのマナーについて、PDFにてご説明しております。

  • 連載企画【第4回】「お墓」のはなし

    今年もお盆には、多くの方がお墓参りに行かれたのではないでしょうか。お墓で何が気になった、または親戚や知人に指摘されたことは、ありませんでしたか?

    私ども石材店は、お盆の後にお問い合わせをいただくことが多いです。その中でよくあるのが、“お墓が傾いている”というものです。
    お客様の中には、“お墓が傾くと家が傾く(家によくないことが起こる)と昔から言うから”と心配される方がいますが、“お墓は大切なものだから大事にして”ということを、大げさに言っただけだと思います。当店では、お客様から「この前お墓を修理してもらった者ですが、良いことがありまして…」と連絡をいただいたこともあります。それから私は、“お墓をよくしてあげると良いことがある”と考えるようになりました。
    なので、気を揉む前に、お気軽に石材店へお問い合わせください。修理費用の面も心配されると思いますが、大体どこの石材店も見積もりは無料ですので、お手数でも、数社に問い合わせてみて、適切な値段のところを選ぶようにしてください。

  • 連載企画【第3回】「お墓」のはなし

    私は年に一度、石材店としての勉強のため、香川県高松市で行なわれる石材業界の展示会へ行っています。
    その中で、お墓参りをしているところの写真を集めた写真展“お墓参りの写真コンテスト”が開催されており、毎回すごく心を動かされています。
    展示されている写真1枚1枚が、故人に対しての想いや感謝の気持ちであふれているのです。

    その中で特に私が好きな作品は、“子どもがお墓と写っている写真”です。
    例えば「1年生になったよ」というタイトルの作品は、お墓の前にピカピカのランドセルを背負った女の子が立っています。ご先祖様に成長した姿を見せたかったのでしょうか、その姿はどことなく嬉しそうです。
    また、「雨の降る日のお墓参り」という作品では、お墓参りをしていたら雨が降ってきてしまったので、持っていた傘を幼い兄弟が自分たちでなく、“じいじが濡れちゃうよ”と、お墓にむかって傘をさしてあげているのです。
    それを見たとき、その兄弟のやさしさに心が洗われるような気持ちになったのを覚えています。

    他にも、子どもがお墓参りを一生懸命手伝っていたり、掃除をしている写真がいくつかありました。毎度とても感動させられます。
    ただ、このようなことは、周りの大人が、お墓参りがどういうもので、なぜするのかということを教えてあげなければ、できることではありません。

    お墓というものの意味が分からなければ、子どもにとっては、ただの大きい石の前で手をあわせる場所にすぎないのです。
    だからこそ、大人が分かりやすく、かつ真剣に、「このお墓の中には自分のご先祖様が眠っているんだよ。この人たちがいなければ、あなたは今ここにいないんだよ。」ということを教えてあげてください。
    ご先祖様が分かりにくければ、“お父さんのお父さん”また、“おじいちゃんのお母さん”など分かりやすい言葉が良いと思います。
    自分が生まれる前に、実はとてもお世話になった人たちがいたんだということが分かってもらえれば、きっとご先祖様への感謝の気持ち、やさしい気持ちをもってもらえるのではないでしょうか。

  • 連載企画【第2回】「お墓」のはなし

    私は石材店を営んでおりますので、墓地には多く足を運びます。そこで墓参者をお見受けし、お話を伺うことがあります。
    みなさんお墓参りの頻度として1番多いのは、お花が枯れないように1~2週間に1回行くという方です。
    お墓参りは水を使って行う作業が多いため、寒い時期はとても大変だと思います。
    しかし、お参りされている方を見ると、みなさん穏やかな表情をされています。その姿を見て「お墓参りっていいものなんだなあ」と改めて気付かされます。
    そして“お墓参り”を老後の“ライフワーク”として位置づけている方もおられます。“ライフワーク”とは、ご自身の人生をかけてする仕事、自分にしかできない仕事ということです。
    お墓参りは仕事ではありませんし、考え方は人それぞれ違うと思いますが、お墓参りをライフワークと位置づけ信念をもっている方は、とてもイキイキしているように見えます。

    しかし、そんなお墓参りも近くにお墓があってこそできることです。
    ご自分やご主人様の故郷が遠方で車で何時間もかかるところにお墓があったり、墓地自体は近くても山の上などの高所で階段や山道を登っていかないといけないような所ではそうはいきません。

    そんな方に是非提案したいのがお墓の引越しです。
    ただ、お墓の引越しは家の引越しとは違い、ご先祖様の遺骨を移動するわけですので親類間で話し合いが必要であったり、普段は聞き慣れない手続きが必要になります。
    簡単なことではありませんが、やり方さえ分かっていればできるので、興味のある方はPDFをクリック!

  • 連載企画【第1回】「お墓」のはなし

    仕事柄、電話などでお墓についての疑問や質問をお受けします。その中でここ数年、特に多かったのがお墓を片付けるいわゆる“墓じまい” に関することです。
    永代供養や散骨、樹木葬など様々な埋葬の形ができたからなのか、若者のお墓離れが進んでしまっているように感じています。

    しかし一方で、様々な神社仏閣、聖地などは「パワースポット」と呼ばれ、癒しとパワーを求めて若者たちが押し寄せています。当然、有名なパワースポットに行き参拝されることはとても良い事です。
    ですが、万人にご利益をもたらすパワーより、子孫に向けられるご先祖様のパワーの方がきっと温かくありがたいものであり、ご先祖様の眠っているお墓こそがご家族にとって1 番の「パワースポット」なのではないでしょうか。
    ご先祖様がいなければ今のあなたはいません。先祖供養を大切にし、子孫の幸せを願えば、人として心が豊かになり、幸せをつかむことができるでしょう。